下落相場での買いサイン

酒田五法のローソク足のパターンは、底値圏、高値圏、上昇中、下落中の4つの状況に分類されます。
それぞれの状況においてのみ成立するパターンなので、同じチャートの形でもすべての状況で成立するわけではないことに注意が必要です。
それでは、まず下落相場における買いサインから見ていきましょう。

 

下落相場での買いサイン①

放れ七手の変化底

下落相場(底値圏)において、下落中に大きな窓を空けたあと、一定のラインでもみ合い、そこから急上昇するというパターンがあります。
これは「放れ七手の変化底」と呼ばれているパターンで買いサインとなります。

七手ということでローソク足7本で構成されるのが典型例ですが、必ずしも7本とは限りません。
窓空け→底値でもみ合い→上昇という形が出ているかどうかが重要です。大きく窓を空けて下げたということはそろそろ売りが一服する可能性があります。
さらに底値でもみ合っているのでそこが底値のラインという予測が成り立ち、そこからの上昇で反転を確信するという考え方になります。

この「放れ七手の変化底」で大事なのは、そこから完全に上昇トレンドに入るのか、それとも再び下落するのかはわからないということです。
ある程度上昇したあとに再び下落し始めるケースもありえます。そのため、買いで入ったとしてもそのままポジションを持ち続けるのか、それとも早めに利益確定してしまうのかの判断が必要です。

早めの利益確定ならば、目安は窓を埋めてしまうあたりとなります。

連続下げ三手放れ三ツ星

同じく下落相場(底値圏)での買いサインとなるのが「連続下げ三手放れ三ツ星」と呼ばれるパターンです。
大きく窓を空けて下げたあと、短い陰線(下落)のローソク足が3本出現し、さらにそのあと十字線が出現したらこのパターンの可能性が高くなります。

その次のローソク足が大きな陽線(上昇)となればパターンの完成です。
これは窓を空けながらの下落で売り一服という観測が出始め、短い陰線3本で下げ止まりの予感がさらに強まります。
十字線はプラスマイナスゼロ、つまり相場がどっちつかずの状態です。完全に下げ止まったと判断できるので、次には反転上昇が期待できるというわけです。

「連続下げ三手放れ三ツ星」を使ってどこから買いで入るかですが、十字線を確認し、次のローソク足が上昇を始めたあたりで買いを入れるのがセオリーとなっています。
十字線が確定した時点でもよいですが、できれば次の上昇を確認してからエントリーしたほうが、より精度が高いでしょう。

いったん上昇が確認されれば、さらに買いが集まって十分に利益を得られる余地があります。

 

下落相場での買いサイン②

酒田五法における下落相場(底値圏)での買いサインは、底値を確認して買いを入れるというパターンが多いです。
次に紹介する「放れ五手黒一本底」、そして「鍋底」も同じパターンの応用になります。

放れ五手黒一本底

「放れ五手黒一本底」とは、窓を空けた(放れ)大きな下落のあと、ローソク足が5本ほど売り買いがもみ合う展開となり、さらに大きく下げたあとに急上昇するパターンのことを言います。
最後の急上昇時にも窓を空けることがポイントで、窓が空いていることが買いサインと判断する大きな決め手となります。

「放れ五手黒一本底」の解釈は、まず窓を空けながらの大きな下げで下落が一服するかもしれないと市場が考え始めます。そして比較的長期のもみ合いで底値が意識され始めます。
ここからさらに一段階大きく下げるのですが、この動きは為替相場においてもよく見られるパターンです。

底値を意識させておいてそこからさらに1段落とすという、いわば引っかけにくるパターンはしばしば見られます。
ここからさらに落とすかと見せかけておいて急上昇というのもよくあるだましのパターン。こういった市場のトリックは、酒田五法でも取り入れられていることからもわかるように、古くからある古典的な相場のテクニックなのです。

買いに入るタイミングとしては、最後の上昇を少し確認したあたりがベストでしょう。

鍋底

酒田五法における「鍋底」とは、下落相場が一段落して底値を意識させるもみ合いが長期間継続したあと、窓を空けつつ力強い陽線(上昇)が出現するパターンのことをいいます。
「鍋底」の特徴は、底値圏でのもみ合い(レンジ相場)が長く続くこと。時には数ヶ月間続くこともあります。
為替相場において反転上昇するパターンはV字回復が多いのですが、そうでない珍しいパターンがこの「鍋底」だといえます。

「鍋底」の考え方は、底値圏を長い間意識させられたあと、窓を明けての力強い上昇でトレンド転換を確信するというものです。
長期のもみ合いはその期間中に力をためているとも解釈でき、そこから解き放たれた次の動きは大きくなる傾向にあります。

ただ、「鍋底」は上昇するパターンを指しますが、実際には長期にもみ合ったあと、さらに落としていくというケースもないわけではありません。
レンジ相場のあとには次に出たトレンドに追従するという動きが強くなりがちです。

「鍋底」のパターンを利用してトレードを行うならば、最後の上昇をある程度確認してからエントリーするようにしましょう。

 

下落相場での買いサイン③

酒田五法には下落相場において窓が空いたことを手がかりに買いサインとするパターンが多く紹介されています。
しかし、それ以外に窓が空かない場合のパターンも存在しています。

それが「三手大黒線」と「二本の差し込み線」と呼ばれるパターンです。

三手大黒線

下落相場において3本の長い陰線が連続して出現した場合、相場の転換が起こる可能性が高いと考えられます。
これが酒田五法の「三手大黒線」です。

ポイントになるのは「窓を開けていない」ということ。すでに利益確定の動きが混じり始めており、下落の勢いが弱まりつつあることを示しています。
大陰線が3本連続したあと、陽線(上昇)の出現を見極めてからトレードするという方法もあります。

三手大黒線を買いサインとして使う場合、FX特有の事情に注意する必要があります。
FXではトレンドが加熱する傾向が強く、株式相場などでは3本の大陰線が下げ止まりのシグナルになるとしても、FXではそのまま下げ続けるというパターンが少なくありません。

三手大黒線が反転のサインになるかどうかは、相場のレンジや他の指標も含めて判断するしかないでしょう。そのなかでも上で紹介した陽線を確認してからトレードするという方法はかなり効果的です。

FX取引で三手大黒線を使うなら、陽線まで確認したほうが無難でしょう。

二本の差し込み線

下落相場で差し込み線が2本出現したとき、底値を打ったとして上昇に転換すると判断する考え方があります。
差し込み線とは、前日の終値よりも低い位置からローソク足が始まるものの、そのまま上昇して前日の始値よりも低い位置が終値になる陽線という、少し複雑なものです。

前日の陰線よりも少し下にズレた陽線と考えるとわかりやすいかもしれません。
1本目の差し込み線が出現したあと、少し上昇してまた相場が下落し、2本目の差し込み線が出現した時点が買いサインとなります。

FXでは基本的に前日の終値と本日の始値が一致する(週末除く)ので、厳密な意味での差し込み線は出現しにくいです。
そのため、前日の陰線の始値を超えないレートまで戻した陽線を差し込み線と考えるなどのアレンジが必要になります。

この形にしても2本の擬似差し込み線が出現した時点で、チャート的には底値のラインが強く意識できるはずです。
そこでエントリーする方法のほか、さらに次の陽線を確認して精度を高めるという方法もあります。

ただ、その分とれる利幅は狭まってしまうので、精度をとるか利益をとるかのトレードオフとなるでしょう。

 

下落相場での買いサイン④

酒田五法では、十字線や抱き線、はらみ線といった特徴的なローソク足のパターンが紹介されています。
これらのパターンと前後の陽線や陰線、そして上昇相場や下落相場といったシチュエーションを組み合わせて買いサインを見つけ出すのが酒田五法の手法なのです。

捨て子線(下げ相場・高値寄り)

前後のローソク足の両方から窓を空けられて出現している十字線を捨て子線と呼びます。

下落相場中に捨て子線が出現し、さらに次のローソク足が上方向に窓を空けた陽線だった場合、酒田五法ではこれを買いサインと判断します。
十字線は売り買いが拮抗しているときに出現するもの。売りと買いの圧力が同じになったあと、上放れした陽線が出現したので上昇トレンドが勝利したと考えるのです。

ちなみに十字線の次のローソク足が下放れの陰線だった場合は売りサインとなります。十字線の次のローソク足の形が取引の鍵となるでしょう。

最後の抱き線(下げ相場)

抱き線とは前日のローソク足よりも上下に長いローソク足のことをいいます。

前日のローソク足を包み込むような形なので抱き線と呼ばれています。
下落相場において陽線が出現し、次のローソク足が陰線の抱き線になったうえで、その次のローソク足が上方向に窓を空けた陽線だった場合は買いサインです。
この場合のポイントも最後の陽線です。これがあることで上昇トレンドに転換したと判断できます。

抱き線の次が陰線だった場合、まだ売りが強いということになります。抱き線の次のローソク足をよく観察して判断を下しましょう。

陰の陰はらみ

はらみ線とは、前日のローソク足よりも上下に短いローソク足のことを指します。

下落相場中にはらみ線が出現し、ともに陰線だった場合、次の日のローソク足のパターン次第で買いサインとなります。
その次の日のローソク足ですが、一般的には上放れした陽線、または抱き線の陽線がもっともよいシグナルだと言われています。

この3本が成立した時点でトレンドは上昇に転換した可能性が高くなります。酒田五法における下落相場での大陰線は相場の下げ止まりを予感させるものです。

さらに陰線のはらみ線で売りがかなり弱まっていることを確認し、次の陽線でトレンド転換を確信するといった流れになります。
ここでもポイントになるのが最後の陽線。ここが陰線だったりすると、まだ下げの圧力が強いのではないかという雰囲気になります。

十字線や抱き線と同様に、陽線の出現をしっかりと確認することが大切です。